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骨髄線維症(MF) Q&A

Q1.MFはどのような病気ですか?

骨髄増殖性腫瘍のひとつで骨髄の中に線維化が生じる病気です。その結果、骨髄以外の場所で血液を造るようになります。それを髄外造血と言いますが、その代表的な場所が脾臓です。そのため、病気が進行すると脾臓が腫れるようになります。異常な巨核球(血小板を造る細胞)から放出されたサイトカインに線維芽細胞が反応して増殖し、細網線維や膠原線維を産生し、骨髄の線維化が進みます。すなわち線維芽細胞に異常があるわけではありません。骨髄線維症には他に原因がみつからない原発性、真性赤血球増加症や本態性血小板血症から移行した続発性、急性巨核芽球性白血病や有毛細胞白血病、副甲状腺機能亢進症などの基礎疾患に伴って生じる二次性があります。本態性血小板血症と同様に原発性骨髄線維症においてもJAK2MPLCALRなどの遺伝子異常が報告されています。

Q2. MFはがんですか?

がんではありませんが、一部のMF患者さんは急性白血病(血液のがん)に移行することがあります。

Q3. MFはどのように診断されますか?

骨髄生検で骨髄の線維化を証明すれば診断できます。骨髄に線維化が生じると骨髄から骨髄血が吸引できなくなります。これをドライタップと言いますが、骨髄線維症を疑う重要な所見です。骨髄の線維化を確認するためには、骨髄生検を行い、骨髄の一部を採取する必要があります(Q4をご覧下さい)。最近では遺伝子異常もみつかるようになりましたので、これらの情報も診断の参考になります。

Q4. 骨髄生検をした方がよいのはなぜですか?

骨髄線維症は骨髄の中が線維化していることを証明してはじめて診断されるので骨髄生検がどうしても必要になります。通常行われる骨髄穿刺という骨髄検査では骨髄血を採取することができないのです。骨髄検査について簡単に解説しましょう。骨髄検査には骨髄穿刺と骨髄生検があります。骨髄を水の含んだスポンジと考えてください。骨髄穿刺とはスポンジを絞って水を採取することです。一方、骨髄生検はスポンジそのものの一部をちぎって取ってきますので、骨髄生検の方が骨髄の内部構造を確実に知ることができるのです。骨髄線維症の場合には骨髄の中が線維化していますので骨髄穿刺では骨髄血をうまく吸引できません(これをドライタップと言います)ので、骨髄の一部をちぎって取ってくる骨髄生検で診断することになります。

Q5. 疾患のステージはどのようになっていますか?

この病気のステージというものはありませんが、全身症状(体重減少、寝汗、発熱)、年齢、ヘモグロビン濃度、白血球数、末梢血芽球の5つの項目によって国際予後スコアリングシステム(IPSS)は構成されています。評価項目は同じですが、ヘモグロビン濃度を重視したスコアリングシステム(DIPSS)というものもあります。IPSSは診断時からどのくらい生きられるか(あくまでも平均ですが)を予測できます。DIPSSは現時点からどのくらい生きられるかを予測したもので、最近ではこのスコアリングシステムを用いることが多く、造血幹細胞移植を行うべきかの重要な指標になります

Q6. MFではどのような症状が出るのでしょうか?

脾腫による腹部膨満感、発熱、盗汗(寝汗)、体重減少、掻痒感(かゆみ)、骨痛、易疲労感(疲れやすい)などがあります。

Q7. MFの予後について教えてください。

白血球減少による感染症、血小板減少による出血、急性白血病への移行などが予後(患者さんの今後)に大きく影響します。予後を予測するシステムにはいくつかありますが、全身症状、年齢、ヘモグロビン濃度、白血球数、末梢血芽球の5つの項目によって評価する国際予後スコアリングシステム(IPSS)とダイナミックIPSS(DIPSS)というものがあります。点数によって低リスク群、中間リスク-1群、中間リスク-2群、高リスク群の4群に分類されます。欧米のデータですが、低リスク群は135ヵ月、中間リスク-1群では95ヵ月、中間リスク−2群では48ヵ月、高リスク群では27ヵ月の生存期間(中央値)が予想されます。したがって中間リスク−2群や高リスク群で年齢が65歳以下の患者さんは造血幹細胞移植を積極的に考える必要があります。

Q8. MFの治療法について教えてください。

治療法には根治療法と対症療法があります。根治療法とは病気を完全に治すことを目的に行う治療のことで、造血幹細胞移植がそれに相当します(Q15とQ16をご覧ください)。根治療法ではありませんが、貧血に対する蛋白同化ホルモンやエリスロポエチン、サリドマイドやその誘導体の投与が行われます。JAK2阻害薬は分子標的薬の一種で、開発が精力的に行われています。その中でルキソリチニブの開発が先行しています。この薬剤は腫大した脾臓の縮小やそれに伴う食欲の増進、全身症状(発熱や寝汗、体重減少)の改善を認めていますし、全身のかゆみに対しても効果を発揮しますので、生活の質QOLが著しく改善します。最近では線維化の改善や生存期間の延長が報告されています。日本でも2014年7月に製造販売が承認され、原発性骨髄線維症や、赤血球増加症や本態性血小板血症から移行した続発性骨髄線維症の患者さんに服用していただけるようになりました。対症療法とは症状を緩和する方法で、脾腫に対する抗腫瘍薬や脾臓摘出、放射線照射、貧血に対する輸血療法などがあります。

Q9. 日本で保険承認されているJAK2阻害薬について教えてください。

ルキソリチニブ(商品名ジャカビ)が承認されています。適応疾患は原発性骨髄線維症や、真性赤血球増加症や本態性血小板血症から移行した続発性骨髄線維症に限られています。詳細をお知りになりたい方はhttp://www.jakavi.jp/p_patient/にアクセスしてください。またジャカビに関する資材はhttp://product.novartis.co.jp/jak/medicaltool2/からダウンロードすることができます。副作用は貧血や血小板減少などの血液毒性、免疫力の低下です。服用を急に中止すると発熱、骨痛、全身倦怠感などの離脱症候群がみられることがあるので、中止する際には徐々に減量する必要があります。

Q10. ジャカビを服用し始めるタイミングはどういう場合でしょうか?

国際予後スコアリングシステム(IPSS)やヘモグロビン濃度を重視したスコアリングシステム(DIPSS)(Q5を参照してください)でInt-2リスク群やHighリスク群がジャカビによる治療の対象になりますが、Int-1リスク群であっても脾腫のために腹部膨満感や早期満腹感がある、あるいは発熱、寝汗、体重減少、掻痒感などの全身症状がある場合にはジャカビの効果が期待できますので、服用を始めるタイミングになります。

Q11. JAK2変異が陰性の場合にJAK2阻害薬は、どれ位有効でしょうか?

JAK2 変異以外の変異でも最終的にはJAK2 の経路が活性 化されるので、JAK2 変異陰性の方もJAK 阻害薬はJAK2 変 異陽性例と同程度に有効です。

Q12. MFの患者で、脾腫がない場合はジャカビを服用する必要はないでしょうか。

ジャカビは脾腫だけでなく、全身症状の改善にも有効です。 脾腫がなくても、発熱、寝汗、体重減少、掻痒感(かゆみ)、 全身倦怠感(だるい)などがあり、生活の質(QOL)の低下 を認める場合にはジャカビは効果的です。

Q13. 治療薬による白血病への移行のリスクについて教えてください。

抗腫瘍薬の種類によって白血病を誘発する頻度は異なります。骨髄線維症のデータではありませんが、真性赤血球増加症ではヒドロキシカルバミド(ヒドロキシウレア、商品名:ハイドレア)では急性白血病への移行率は4%ですが、ブスルファン(商品名:マブリン散)などのハイドレア以外の抗腫瘍薬の急性白血病への移行率は12%、抗腫瘍薬を複数使用するとその頻度は17%に上昇すると報告されています。患者さんの多くに使用されているハイドレアは白血病を誘発する危険性は低いとされています。欧米のデータなのであくまでも参考ですが、急性白血病に移行しやすいのは「末梢血の芽球の割合が3%以上」、または「血小板数が10万/μL未満」と報告されています。

Q14. 医学的に初期のMFでペグインターフェロンは使用できますか?

現在保険適用外なので、使用することはできませんが、初期 (早期)のMF(PV ないしET からの移行例も含めて)に使用 して貧血や線維化の改善や脾臓容積の縮小を認めたとの報告が
あります。

Q15. 造血幹細胞移植の役割について教えてください。

骨髄線維症を根本的に治す(根治)ためには現時点では造血幹細胞移植が唯一の治療法です。したがってQ7で述べた予後予測スコアリングシステムで中間−2(Int-2)群や高リスク群で年齢が65歳以下であれば、積極的に造血幹細胞移植を考えた方が良いでしょう。

Q16. 造血幹細胞移植は何歳くらいまで可能ですか?

原則は65歳までです。施設によりますが、全身状態(PS)が良ければさらに上の年齢層まで行う可能性があります。

Q17. 輸血は血液検査値がどのくらいになると考慮しますか?

慢性貧血に対する輸血の目安は一般にヘモグロビン濃度が7g/dLが輸血を行う目安とされていますが、ヘモグロビン濃度がどのくらいに下がったら貧血症状(階段の昇り降りで息切れがする、頭痛、動悸、耳鳴りなど)が出るかについては個人差がありますし、仕事の内容(事務仕事などの軽労働なのか運動量の激しい仕事なのか)によっても大きく異なりますので、一律に決めることは難しく、一般には症状に合わせて輸血を行うことが多いかと思います。

Q18. セカンドオピニオンはどの時点で受診した方が良いですか?

いつでも可能ですが、治療方針を決定する場合、特に造血幹細胞移植を受けるかどうかを決める際にはセカンドオピニオン外来を受診しても良いでしょう。

Q19. できるだけ運動はした方が良いですか?

年齢に応じた適度な運動はこの病気に限らず必要なことですが、貧血による心臓への負担、血小板減少による出血の危険性、さらには腫大した脾臓を強打することによる脾臓破裂の危険性などを考慮すると、患者さん全員にできるだけ運動はした方が良いとは言えません。どのような運動がよいか、どの程度の運動量が適当か、主治医とご相談ください。

Q20. 発熱した時はどうすればよいですか?

この病気自体でも37℃台の発熱や発汗はみられますが、特に普段から好中球(白血球の一種)が極端に少ない(500個/μL未満)患者さんで、悪寒(寒気)や戦慄(ふるえ)、38℃以上の発熱が生じている場合には感染症の可能性があり、治療が必要ですので必ず主治医に連絡を取り、適切な治療(抗菌療法)を受けてください。自己判断は危険です。

Q21. 体重減少は診断時から何パーセント減で報告した方が良いですか?

原則半年で10%ですが、急激な体重減少は主治医に報告してください。

Q22. 白血球が異常に下がったとき、日常生活で気をつける事、食生活で気をつける事はありますか?

感染予防することが重要です。日常生活では入浴・シャワーで身体を清潔に保つようにします。皮膚は感染防御の重要なバリアなので、皮膚に傷をつけないよう、注意してください。怪我をしたら、消毒し、細菌が体内に侵入しないよう適切な処置を受けてください。人ごみは避け、外出時にはマスクを着用しましょう。好中球が500/μL未満の場合には刺身や生肉、生卵などはやめましょう。食材はよく加熱し、生の果物や野菜は十分に洗浄してから食べるようにしてください。

Q23. 免疫力が下がったら、身体にどのような影響を与えますか?また、防御法はありますか?

免疫とは日本で言えば自衛隊のようなものです。自衛隊の機能が低下すると外部から敵が侵入しやすくなります。つまり免疫が低下すると細菌や真菌(カビの一種)、ウイルスに感染しやすくなります。免疫力が低下している場合には感染防御が中心になります。患者さんが自ら出来ることは、感染経路対策で手洗い(排泄時や食事前、帰宅後に流水と石けんで丁寧に洗浄)、マスク着用、うがい、人ごみを避けることです。抵抗力を高めるワクチン接種(インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンなど)も重要です。

Q24. 血栓症のリスクを減らすには、どうすれば良いですか?

この病気も本態性血小板血症と同様の頻度(13.2%が診断前、診断時に発症、10.7%が診断後に発症)で血栓症を起こします。血栓症のリスク因子は血栓症の既往(過去に同じにように血栓症をおこしたことがある)ですが、静脈血栓症に限って言えば、外科手術やホルモン療法なども関係すると言われています。血栓症を予防するには心血管危険因子(高血圧症、脂質異常症、糖尿病、肥満、喫煙など)を減らす努力も必要です。

Q25. アスピリンを服用した方が良いですか?

血小板が多い場合にはアスピリンの投与も考慮しますが、真性赤血球増加症や本態性血小板血症と異なり、血小板数が正常であればアスピリンを服用する必要はありません。

 

 

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