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本態性血小板血症(ET) Q&A

Q1.ETはどのような病気ですか?

骨髄増殖性腫瘍のひとつで血小板が異常に増加する病気です。同時に白血球も増加することがあります。血小板増加を伴う慢性骨髄性白血病や真性赤血球増加症、原発性骨髄線維症を除外しなければなりません。血栓症や出血を合併しやすく、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞を発症して、初めて診断されることもあります。患者さんの約半数にJAK2V617F変異、2-3割にCALR遺伝子変異、1−3%にMPL遺伝子変異を認めますので、ほとんどの患者さんがこれらのいずれかの遺伝子異常を持っているということになります。

Q2. ETはがんですか?

がんではありません。どちらかと言うと良性腫瘍ですが、一部の患者さんは血液の“がん”である急性白血病に移行します。

Q3. ETの原因は何ですか?

最近JAK2V617F変異やCALR遺伝子変異、MPL遺伝子変異が発見されましたが、どうしてそのような異常が起こるのかについてはまだ解明されていません。それがわかるとこの病気の原因も明らかになると思います。

Q4. ETはどのように診断されますか?

2008年に発表されたWHO分類に準じて診断されます。45万/μL以上の血小板増加は持続すること、骨髄の中で血小板のもととなる大型の巨核球が増えていること、染色体異常や遺伝子異常(Q1をご覧下さい)を認めることが診断に必須です。さらに重要なことは他の骨髄増殖性腫瘍や他に原因があって血小板が増加している場合(これを二次性の血小板増多と言います)を除く必要があります。難しい言葉で言うと“除外診断”ということになります。

Q5. どのようにして一次性と二次性の血小板増多を鑑別しますか?

一次性というのは血液細胞そのものに異常があって血小板増加を来した場合を言います。代表的な疾患が本態性血小板血症です。二次性血小板増多とは他に原因があって反応性に血小板が増加していることを言います。一次性と二次性とを鑑別することは重要で、WHO分類のET診断基準には二次性を除外することが含まれています。ETでは80〜90%に遺伝子異常が認められます。二次性では遺伝子異常はありませんので、特定の遺伝子に異常がある場合には診断は容易です。残りの10〜20%の患者さんは骨髄所見などを参考に慎重に二次性を除外することになります。

Q6. 本態性血小板血症(ET)の他の呼び方はありますか?

原発性血小板血症、特発性血小板増加症、本態性血小板増多症と呼ぶことがありますが、本態性血小板血症で統一すべきでしょう。

Q7. ETは治癒しますか?

残念ながら治癒することはありません。造血幹細胞移植を行えば治癒する可能性はあるのですが、病気とうまく付き合えば、寿命は健常者と同じですので、骨髄線維症や急性白血病に移行しない限りは造血幹細胞移植の適応はありません。

Q8. 予想される寿命はどのくらいですか?

骨髄線維症や急性白血病に移行しない限りは健常者と変わりません。

Q9. ETはどのくらい発症していますか?まれな疾患ですか?

10万あたり1-2.5人と推定されていますから、比較的稀な病気と言えるでしょう。診断時の平均年齢は60歳ですが、40歳未満の患者が10〜25%を占めます。小児にはきわめて稀です。男女比は1:1〜2と女性にやや多く、なかでも30代の女性に発症ピークの一つがあります。

Q10. ETは血小板数が増加するだけですか?

主に血小板が増加しますが、白血球も増加することが多いです。ヘモグロビン濃度が増加した場合には血小板数に関わらず真性赤血球増加症に分類されます。

Q11. 血小板数が増加したら危険ですか?

常に血栓症のリスクはありますが、血小板数が100万/μL以上になるとかえって出血しやすくなります。抗血小板薬(アスピリンやクロピドグレル)を使用するとさらに出血しやすくなるので、特に注意が必要です。

Q12. 本態性血小板血症の治療法について教えてください。

60歳以上あるいは血栓症の既往歴があるハイリスク群では抗腫瘍薬による治療が行われます。最も多く用いられているのがヒドロキシカルバミド(ヒドロキシウレア、商品名:ハイドレア)です。その他にブスルファン(商品名:マブリン散)やラニムスチン(商品名:サイメリン)を用いることもありますが、白血病を含む二次発癌を誘発する可能性があり、現在では血小板数のコントロールが難しい場合や高齢者に限定して使用されることが多いと思われます。欧米ではアナグレリドが広く用いられていますが、日本でも2014年9月に製造販売が承認され、服用していただけるようになりました。

Q13. アナグレリドについて教えてください。

商品名はアグリリンです(シャイアー・ジャパン株式会社)。詳細をお知りになりたい方は(http://www.shire.co.jp/products/product-information/agrylin)にアクセスしてください。この薬は血小板を造る巨核球の成熟や血小板を放出する過程を抑制して血小板数を減少させますので、長期間にわたる血小板減少効果が期待できます。また白血病誘発性が認められていません。副作用としては貧血、頭痛、動悸、下痢、末梢性浮腫などがみられますが、国内第V相臨床試験において発現率が高かった副作用の多くは、軽度もしくは中等度であったと報告されています。

Q14. 骨髄生検は必要ですか?それはどのようなものですか?

骨髄検査には骨髄穿刺と骨髄生検があります。骨髄を水の含んだスポンジに例えると、骨髄穿刺はスポンジを絞って水を取ることに相当し、骨髄生検はスポンジそのものを一部ちぎって取ってきます。したがって骨髄生検の方が骨髄の内部構造をよく知ることができます。特に骨髄線維症の場合には骨髄穿刺ができません(ドライタップといいます)。ETと診断する場合には原発性骨髄線維症を除外する必要がありますので、骨髄生検が必須となります。骨髄生検は麻酔下で太い針を用いて左右どちらかの腸骨から骨髄の一部をくりぬいてきます。検査そのものは10分程度で終了します。

Q15. ETはどのような症状が出るのでしょうか?

診断時1/4〜1/3が無症状ですが、頭痛、失神、非定型胸痛、視力障害、網状皮斑、肢端紅痛症(Q23をご覧下さい)などがみられます。その他、血栓症を併発すれば、それに関連した症状がみられます(脳梗塞であれば半身麻痺など)。

Q16. 閉経したら、ホルモン補充療法を受けられますか?

閉経後の女性がホルモン補充療法を受けると深部静脈血栓症の頻度が増すことが報告されていますので、ETの患者さんは受けない方が安全です。

Q17. 治療を開始するに当たり、その基準は何ですか?

60歳以上あるいは血栓症の既往歴があるハイリスク群が治療の対象になります。

Q18. ETの患者は何が原因で亡くなりますか?

脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などが主で、その他に一部の患者さんでは骨髄線維症や急性白血病に移行し、それらが死因になることがあります。

Q19. 病気の変化または進行の兆候を示す症状などありますか?

貧血が進行したり、脾腫は顕著になってきた場合は要注意です。末梢血に幼若な白血球や赤芽球が出現したり、涙滴状赤血球がみられるようになると骨髄線維症への移行を考えます。白血病細胞が増加してきた場合には急性白血病を疑います。その時には白血球増加の他に、貧血や血小板減少がみられるようになります。

Q20. ETの子供は大人よりも違った反応をしますか?

子供の発症は稀ですが、無症状が多いのではないかと思います。

Q21. ETの子供にとって骨髄移植は治療選択肢に入りますか?

入りません。

Q22. あざや血栓を引き起こす原因は何ですかか?

血小板は川の堤防でいうと土嚢に相当にします。堤防が決壊したときに土嚢を積んで洪水を止めますが、その土嚢が少ないと川の水が周囲に流れ込みます。これが出血ということになります。また血小板が多いと土嚢が川を塞き止めて、水が流れなくなります。これが血栓症ということになります。しかし不思議な事に血小板が多すぎると血を固める物質が不足し、反対に出血しやすくなってアザが出来やすくなります。

Q23. 足が腫れているのですが、どうしたらよいでしょうか?

深部静脈血栓症、痛風発作、肢端紅痛症の3疾患の可能性が考えられます。下肢の深部静脈血栓症(左側に生じやすい)であれば場所にも依りますが、足の浮腫、皮膚の色の変化、しびれや痛みがみられます。また血栓性静脈炎を併発すれば、患部に痛みを感じます。血栓溶解療法や抗凝固療法、場合によっては血管内カテーテルを用いて血栓を除去する血管内治療法(IVR)も行います。痛風発作はいろいろな関節に起こりますが、下肢に多く見られ、特に親指の付け根の関節に発赤と発熱を伴う激烈な痛みを感じます。発作時は非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)を用います。肢端紅痛症は血栓によって動脈がつまったことで起こります。手足の先に非対称性に焼けたような痛みをもった赤く充血した腫れで下肢に多くみられます。起立、運動等が誘因となり、足の挙上、冷却などの処置で軽快します。アスピリンが著効します。

Q24. ETは骨髄線維症や急性白血病に移行しますか?

欧米では骨髄線維症へは4〜9%、急性白血病へは1%の頻度で移行すると報告されています。

Q25. ET患者にとって日常生活で気を付けることはありますか?

心血管危険因子を除去することが重要です。心血管危険因子には高血圧症、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、肥満、喫煙などが含まれますので、これらの病気を合併しないよう、食事に気をつけ、運動療法を実践するように心掛けてください。喫煙は論外です。喫煙によって血栓症のリスクを4倍に高めることが知られています。

Q26. 食生活の中でできるだけ摂取した方がよい食品群はありますか?

脂質異常症にならないための食事(お魚や野菜中心)を心掛けてください。

Q27. 疲労感や体力低下を感じた時、体に負担をかけずに毎日続けられることはありますか?

軽いジョギングを20〜30分程度行ってください。ただし水分補給は確実に行ってください。

Q28. ETで妊娠を希望する場合に気を付けることは何ですか?

ヒドロキシカルバミドを服用している場合には男女を問わず、避妊をした方は良いでしょう。動物実験で催奇形性が報告されているからです。また男性では精子の数が減少するとも言われています。男女を問わず妊娠を希望する3〜6ヵ月前にヒドロキシカルバミドを中止する必要があります。その間、コントロールが難しい場合にはインターフェロンαでコントロールすることになります(真性赤血球増加症のQ23〜27をご覧下さい)。

Q29. ETで出産の際に気を付けることは何ですか?

ETの妊婦に対する適切な治療法はまだ確立されていません。自然流産や死産、早産も健常者に比べると頻度は高いと報告されていますので、血液専門医のいる病院で出産をした方が良いのではないかと思います。

 

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